「おいっ!お前!タイム測っとけや!ペースがわかんねぇだろ!」

走っている男の子が私に向かって叫んだ

『ひっひぃ!わ…わかりました!』

私は慌ててストップウォッチを取りに部室に行った

サッカー部の部室…

ドアを開ければ中はボールやらユニフォームやらでぐちゃぐちゃになっていた

(さ、さすが男の子…)

私はそう思うとストップウォッチを探した

『どこにあるんだろ…っ』

私はぐちゃぐちゃな部室の中をかき分けた

「なに探してるのー?」

すると後ろから声がして
バッと振り返った

「もしかしてストップウォッチとか?」

私より少し小さい男の子
サッカー部のユニフォームを着ているからサッカー部の子だろう

その男の子は右手にストップウォッチを
ちらつかせていた

『あっそれ…』

「これ探してたんだぁ…」

男の子はニヤリと怪しい笑みを浮かべた

『え』

男の子が背を向けた瞬間、
遠くに投げられたストップウォッチ…
私はポカンと口を開けて見ていた

「あーららっ遠くに飛んでいっちゃった♪」

男の子は満足そうに私の方を見て笑った

『ぇ、あのっ…』

「グラウンドの向こう側くらいかな?いやフェンスこえちゃったかもw」

男の子は私を見て目を細めた

『…』

「地味な女の子!そんなんじゃだれもかまってくれないよ?」

『え?』

「あいつらの気を引こうとしてもダメだよ、あんたみたいな女の子じゃだーれも興味示さないからっ♪」

『あのっ…気を引くなんてっ、そんなこと…っ』

私はムッとなり男の子を少し睨んだ

男の子はあははっと笑うと部室の中にあるサッカーボールを手に取った

「早くみんなのところに行きなよ、ずっと走ってるからいつ終わればいいかわかんないみたいだょ、まぁオレは走るのやめたけどね」

『あっ!そーだ!』

私はストップウォッチがないため
次の練習メニューにうつってもらうことを伝えにみんなのところに行った

「ふーん…」

男の子の微笑んだ顔を見ずに