「マヒロ君、今、めっちゃ焦ってる?」


「焦ってないけど……。只今、人生を振り返って反省してるとこ」


「あはは」


何がツボにはまるのか、リアナはますます大声で笑い始めた。

そしてひとしきり笑った後で、ポツリと呟いた。


「何にもなかったよ? うちら」


「え?」


思わず大声を出してしまったオレに、リアナはゆっくりと説明してくれた。


「ホントに抱いてくれるんかなぁ……ってちょっとは期待しててんけど……。マヒロ君、『ダメ』って首振るねん」


リアナはじっとオレを見つめる。

オレはそんな彼女の口元をぼんやり見つめて次のセリフを待った。


「『好きな子がいるから』って」


「え……」


「酔っ払ってるくせに、一生懸命語ってたよ。『キミは確かに可愛い。抱きたいって思う。けど今は好きな子がいるから……その子以外は抱けない』って」


「マジで……?」


うわっ……。

オレ、酔っ払ってたくせに、何、クサいセリフ吐いてんだよ。


「ハズい……」


オレはあまりの恥ずかしさに口元を手で覆った。

リアナはクスリと笑う。


「意外に真面目なんやなぁ……ってビックリしたし。そんな風に想われてる彼女が羨ましいなぁ……って思った」


そう言いながら、サキの方へ視線を向ける。


ともかく、あの夜、オレらの間には何もなかったようでオレはホッと胸を撫で下ろした。


リアナとオレは再び、みんなの輪の中に戻った。


「リアナちゃんとマヒロさん、すっかり仲良くなったんですね」


サキがニコニコ笑いながら、そんなオレ達に声をかける。


「良かったぁ……。合コン、企画したかいがありましたよ!」


「は?」


サキのセリフに目をぱちぱちさせて驚くオレ。

企画した……って、サキが?


「おい……どういうことだよ?」