「へ? へ? えーと……」


一通り、説明を受けてもまだよくわからないのか、サキは相変わらず首を捻っている。


「つーかさ……」


オレは望月に近づいていって、ヤツの腕をひっぱった。

サキに聞かれないように、背を向けて小声で話す。


「じゃ、あれは何だったんだよ? 元々、“効果絶大”だってお前が言ってたのは、例のコンパのことだろ? あれはオレじゃなくて、そもそもサキにヤキモチ妬かせる作戦じゃなかったっけ?」


「え?」


なぜか望月はあからさまにオレから目をそらした。


「えー……あれはやなぁ……」


誤魔化す言葉でも捜しているのか、望月はポリポリと首の後ろを掻いている。

その時、公園の入り口からの声にオレ達は振り返った。


「あれー? こんなところで何してんのー?」


聞き覚えのある低いハスキーボイス。


「こんばんはー」


彼女はニコニコ笑いながら公園内に入ってきた。

そんな彼女にひきつった笑顔を見せるオレ。

この状況は相当まずいんじゃねぇか?


「マヒロ君! こんばんはぁ」


彼女は嫌味なぐらい底抜けに明るい笑顔をオレに向ける。


やっべ……。

なんてタイミングだよ。

よりによって、サキと上手くいった直後に現れることないだろ。