ようするに、望月とアイちゃんは最初からグルだったってわけ。

そもそもの発端はアイちゃんからの相談だったらしい。

アイちゃんは、サキの様子から、彼女がオレに惚れていることに気づいたものの、何しろサキだ、自分の気持ちにすら自覚がない。

どうしたもんかと、マシェリにやってきた。

そこで、バイト仲間の望月の存在に気づいて、ヤツに事情を説明した。

そしてオレ達をくっつけるために企画したのが、コードネーム“効果絶大”作戦だったわけだ。

サキから行動を起こさせるのは無理だと感じた二人は、オレにヤキモチを妬かせようと作戦を練った。

アイちゃんはマシェリに通いつめ、まるでサキを狙っているかのように見せかけて、オレの気持ちを煽った。

今日、サキが“Sputnik”に買い物に行くことを知っていたアイちゃんは、そのことを望月に連絡した。

さらにはサキが傘を持っていないことも伝え、アイちゃんが彼女を迎えに行くという計画が決行された。

望月があのイタリアンレストランにオレを連れていったのは、そんな二人の様子をオレに見せ付けるためだった。
(よくもまぁ……タイミングよく雨が降ったもんだって思うけどね)

そして二人の後をつけていき、あたかも二人が付き合っているかのように見せかけたのも……。


全ては望月とアイちゃんの計画だったってわけだ。



「まぁ……。マヒロ君を押し倒したのはやりすぎだったかな。ごめんね……サキ」とアイちゃんは最後に付け足した。