「にゃあああああ」


ヘッタクソな猫の鳴きまねしながら、植え込みから顔を出したのは、望月だった。


「もう一匹の子猫ちゃんも顔出せよ」


今度は小さな石を拾った。

それを空中に放り投げては、キャッチする。

そんな動作を繰り返しながら待つこと数秒。

しびれをきらし、キャッチした石を構えて投球フォームをとる。


「ちょ……石はやめてよ。あぶないって」


そう言いながらようやく顔を出したのは、アイちゃんだった。


「どうもー」


なんてヘラヘラ笑いながら望月がこちらにやってくる。

その後を追うようにアイちゃんも。


「え? アイちゃん……? 望月君も……? どうして……?」


ただ一人、この状況が全く読めないヒト。

サキはキョトンとしている。


オレはもうなんとなくわかってしまったけどね。


「いやぁ……どうなるかとハラハラしてたけど。上手くいってくれて良かったわぁ」


望月は両手を組んでうんうんと頷いている。


「コードネーム……“効果絶大”作戦、大成功♪」


ハイタッチなんかしちゃってる二人に、オレは呆れ顔を向けた。

はしゃぎすぎだっつの。


「何が、“効果絶大”だよ。そういうことかよ?」


「へ? へ?」


相変わらずサキはキョロキョロと視線を動かして、オレ達三人の顔を交互に見比べている。


「説明しよう」


望月が得意げに人差し指を立てて、これまでの経緯を話し始めた。