「くろ。」



「何?」


呼ぶとすぐに返事をしてくれて、
側にきて寄り添ってくれる。


それは私の世界にまた1つ色を添えてくれる。


そっと右手の薬指に左手を乗せる。

くろが私の為だけに作ってくれた
ブランド「kuro 」


くろが私をアトリエに呼んだ日から
普段使い出来るように
密かに作っていたと、
後日右手に付けてくれたのだ。




小さなブラックダイアモンドが嵌め込まれた細いシンプルなリング。

裏にはkuroと彫ってある。


genのファンすら知らない
限定モデル。


オニキスの蛇の指輪とセットリングになるシーックレットセットアップだ。



もし、市場に出回っていたら.....



考えるだけで怖い額。
とだけ言っておこう。




真っ白だった私の世界に
ただ1つ強烈な黒。



それはどんな人に出会っても、
色褪せることなく
私の前に何度だって
現れる。




目に映る度に、恋をする。




ありのままの私を受け入れてくれたくろ。


嘘はもう、要らない。







玄斗が隣に居てくれるなら。










End