きい、がたん

隣に誰かが座った。

顔見たいけど、気づかれたら嫌だしな…

こんなんじゃ友達どころじゃないよね、ホント。


HRまでまだ時間あるし、ずっと何もしないで座ってるのはキツい。

そんなことを考えていた時
「お前、名前なに?」


隣を見ると、目が合った。

「私にいってます?」

隣の男子は眉をよせた。

「は?お前しかいねぇだろ。」

なんかヤな感じ。


「そうですね。」

・・・・・

「名前は?」

あぁ、

「高松杏ですけど。」


それは一瞬、そう、ほんの一瞬だった。

私の勘違いかもしれない。

そいつが私の名前を聞いたときの表情が、悲しそうだったこと。

それから、隣のヤツは話しかけてこなくなった。