「あっ…! 北村様よーっ!」
クラスの子のそんな声が聞こえ、目を凝らす。
そして、見つけた…
誰よりも速く…北村くんは、先頭になっていた。
あたしは、北村くんが近づいてきた瞬間
「北村くんがんばれぇええっ」
北村くんに聞こえてほしくて、必死になって応援した。
すると…北村くんはあたしを通り過ぎるとき…
あたしを見て、キュッと目を細めた。
北村くんに、聞こえたんだ…!
あたしを見て…笑ってくれた…。
それだけが嬉しくて、心が温まって…。
…いつも口が悪くてあたしにだけ俺様を出してくるけど、
本当は、優しい。
そんな北村くんが、好きだよ…。
北村くんの走る姿を見て、あたしは心でつぶやいた__…。