その瞬間…、
あたしの胸はドキっとした。
北村くんが、息を切らして立っている。
…そして、なぜか成田くんを睨んでるような…？
「…来たんだ？
猫かぶり王子様」
成田くんがそう言って、鼻で笑った。
えっ…？
猫かぶり王子様って…
北村くん、バレてる！？
あたしはわたわたと慌てるけど、北村くんは慌ててない。
むしろ…
「俺のこと、見抜いてたんだ？
…へぇ。
なら、お前とはこっちで話すわ」
…開き直ってる…。
えっ？
だ、大丈夫なのかな。
「…当たり前じゃん。
てか、なんで来たの？」
成田くんと、北村くんから険悪なムードが漂う。
「あ、あのっ…」
「飯倉さんは黙ってて」
「お前は黙ってろ」
…ひっ‼︎
2人にそう言われて黙る。
…な、なんでこんなことになってるの…？
そもそもなんで北村くんはココに来たんだろう…
あたしに、成田のとこ行けばって言ったのにな。
…北村くんがココに来た時、息を切らしてたから、すごい走ったことがわかる。
あたしを探してくれてたの…？
なんて思って北村くんの表情を見たいけど…、
あたしは、さっき言われたことがショックで、あまり北村くんを見れてない。
…というか、怖いんだ。
嫌われちゃったかと思うと…。
だから、あたしはずっと下を向いている
