「…終わった」

パソコンの電源を落とし、椅子の上で背伸びをした。


「全く、流石は陽介だな・・・。

仕事に集中すると、人の何倍も早く大量の仕事を片付けちまう」

奏はそう言って笑った。


「家に帰ったって、夕方メールがあったんだ。

早く帰って、愛に会いたいんだよ」

そう言いながら、片付けをしていると、奏は横でクスクスと笑っていた。


「ホント、お前って、愛ちゃん一筋だな」

「ふん、お前だって、美樹ちゃん一筋のくせに」


「当たり前だ、お前たちより、はるかに付き合いは長いんだよ。

ほらほら、サッサと帰った帰った」

そう言ってシッシっと言った奏は、自分の仕事を終わらせようと、

パソコンに向かっていた。


「言われなくても帰るよ・・・お先」

「あぁ、気をつけて帰れ」

手だけ振って、奏は仕事に集中していた。

奏だって、この仕事は本当に向いていると言う程、仕事ができる奴。

コイツとなら一緒に仕事ができると、この会社を始めたんだ。

コイツがいなきゃ、今のオレはない・・・。