***
俺は一人ぼうっと真っ青な空を眺めていた。
すると、乱暴に屋上の扉を閉める音が響く。
アイツは来ないんじゃないかと思っていたが、ちゃんと俺の目の前に現れた。
「高坂先輩ですよね?で、要件なんですか?」
ちらりと目線だけ俺に向けると腕組みをし、突っかかるような声で放った。
あからさまに態度が不機嫌だ。
「一週間だけ、付き合ってくれねぇ?」
「………」
彼女は眉をひそめ、さらに不機嫌そうな顔をする。
でも、俺にはそれが好感だった。
「はい、いいですよ」って即答しちゃうやつは大抵、碌なことねぇ。
だからこそ、俺の心に火を灯したんだ。
「暇はさせねぇから?」
「………」
それでも、彼女は引かない。
「お願いだから.…..」
「分かった、いいよ。付き合えばいいんでしょ」
遂に俺は彼女を手に入れた。
今なら彼女を選んでよかったと心から思うよ。
だって、“本当の愛”を教えてくれたから。
【END】