授業開始のチャイムが鳴り、先生が教室に入ってくると、皆それぞれ俺の周りから散っていった。
先生が授業を始めるが、さらさら受ける気もない俺は、ぼうっと窓の外を眺める。
グラウンドでは、どこかのクラスが体育の授業を行っていた。
あ~、俺も数学の授業なんかより、体育やりてぇよ
小さくため息を吐く。
一際眺めていると、ただ一人、端にいる制服の生徒が目に入った。
見学なんだろうけど、のんきに読書なんかしてやがる。
「変なやつ」
それがアイツの第一印象だった。
なんつーか、例えるなら、ユリの花。
一つの種から、そんなにたくさんの花は咲かせねぇけど、
他の花に劣らないぐらい真っ白で綺麗な花を咲かす。
“己の道を行く”って感じが、凛としているアイツにぴったりだと思った。