だけどつまらないことを恐れていた臆病な私は、どうするべきかと自問を繰り返しては、つべこべと文句や理由を盾にして逃げていた。
でも、もう思い悩む必要なんてない。
私らしく、素直にベストを尽くせばいいんだ。


「まさか君に恋愛相談される日がくるなんてね。しかも和泉川くん絡みで」
「私もあなたにこんな話するなんて思いもしませんでした」
「仮にも手を出そうとした立場から言わせてもらうけど、乙桐さん悪くないと思うけど。ちっちゃくて可愛いじゃないか」
「何お世辞抜かしてるんですか。てかあなた穴さえあれば誰でも良いくせに」
「君は僕のことなんだと思ってるの」


万年発情眼鏡野郎。と喉まで出かかっていた単語の羅列を引っ込ませ、お雑煮の中にあったお餅をくちゃくちゃと噛む私の隣で、「その理論だと男でもいけるって解釈になるけど、いくら僕でもアブノーマルは無理だよ」だの、「それに女性でも極端に年の差があるのは頂けないな」だの、「とは言え熟女はバッチリ守備範囲だけどね」だの、ニュースキャスターに引けをとらない滑舌の良いイケメンボイスで続け様にまた語りだした舞鶴さん。