キッパリスッパリと否定される。
だけど舞鶴さんだからこそ納得せざるを得ない説得力があった。
絵に描いたような王子様は、文字通り絵空事なのだ。


「なんだから偉そうに語ってしまったけど、これは異性間で生じる感受性の違いも絡んでくるシビアな話だから、あくまで僕の主観として受け止めてくれると嬉しいよ。結局どう捉えるかは君次第だからね」
「……はい」


成り行きとは言え舞鶴さんに相談して、ようやく自分の本心を受け入れられた気がする。
思い返せば、捻くれた和泉川先輩を更生したいと奮闘していた頃、私の中にあった理想の王子様像は希薄化しつつあった。
そうして理想と現実の差異を受け入れた私は、和泉川先輩に絶望させられたあとも、そして和泉川先輩と和解したあとも彼を想い続けていたのだから、本当はどうしたいかなんてとっくの前に答えは出ていたはずなのだ。