「女の子受けするように意図的に王子様キャラを取り繕っている僕から言わせてもらうと、君の求めている理想の男性……王子様とやらが仮に存在していたとしても、それはただの偽りの集結体でしかないと思うんだ。僕のように」
「え?」
「真面目に考えてみなよ。絵に描いたような王子様キャラが素性だったら、ちょっと気持ち悪いと思わないかい?」
「じゃあ舞鶴さんは自分のことキモいって思いながら演技してるんですか?」
「全否定はできないね。僕の場合我ながら様になってるとは自負もしているけど。そうやって自分に誇りを持たないと続かないことでもあるから。自信過剰がメリットを生むこともあるのは、和泉川くんを見ていてもよく分かるだろう」
「確かに」
「話の焦点を戻すけど、君は仮面をつけたままの王子様と幸せになれると思うかい?いつか息苦しくなった王子様が仮面を捨てた時、酷く絶望させられるのがオチなんじゃないかな」
「それは……」
「僕や和泉川くんと関わってその辺理解していると思っていたけど、まだ夢を見ていたいんだね。気持ちは分かるが、君の将来を考慮してあえて念を押させてもらうよ。君が思い描く理想の王子様は所詮はおとぎ話でしか有り得ない存在だ。現実の恋愛は理想のように甘くはないよ」