「要するに、君は和泉川くんが好きだけど、心のどこかでまだ運命の王子様を待ち続けていて、和泉川くんはその運命の王子様としては不足している部分があるから告白できずにいるということかい?」
「まぁ、そんなところです」
「なら悩む前に君は妥協を知った方が良いと思うよ。いや、彼を好きになった時点で十分妥協してると思うけれど」


遠まわしに和泉川先輩の評価を下げる発言をしたことはあえて無視するとして、舞鶴さんの言い分は尤もだった。
この件に関しては私が一人で葛藤を起こしているだけで、誰かを、まして和泉川先輩に非を押し付けるなんてとんでもない話である。

これは私が私と向き合って自己解決するしかない。
そこまで分かっていても踏み出せないのは、背中を押してくれる魔法使い的存在の誰かを求めているからかもしれない。
否定のしようが皆無な正論で指摘してくれた舞鶴さんが「あのさ」と徐に続きを語り始める。