舞鶴さんは一定のトーンを保った声音でそう言うと、眼鏡の奥の細めた瞳で私の顔を覗き込んできた。
その色々の中身を説明するのが億劫に感じたから、わざわざ省略したというのに。

でもここのところ誰かにまともな恋愛相談をしていなかったから、舞鶴さんの気遣いは有難くも受け取れた。
この人のアドバイスが参考になるかは分からないけど、和泉川さんと同い年で根本的な性格に共通している箇所がある舞鶴さんだからこそ、得られる意見はあるかも。
そう考えたから私は事のあらましを簡潔に話したのだ。


「――ということがあったんですよ」


大筋を話し終え私が視線を送ると、相槌を打ちながら話を聞いてくれていた舞鶴さんが、推理小説に出てくる探偵のように顎を手にやる仕草を見せてから口を開いた。