「ところで和泉川くんとは上手くいっているのかな?」


そしたら突然話題を変えてきた舞鶴さんの問いに過剰反応してしまった私は、割り箸からニンジンを落としてしまう。
ぽとり、と音を立てて白いお餅に乗った橙色に視線を止めたまま、私は複雑な心境になっていた。

冬休みに入ってからというもの、和泉川先輩とは数日に一度、ほんの数回のメッセージをやりとりしている程度で、実はしばらく会っていない。
かといって舞鶴さんと初対面だったあの頃に比べると、取っ組み合いの甲斐あって内面的な距離は縮まったような気がしなくもない。
これは自惚れではないと思う。


「……もしかして訊いちゃいけなかった?」
「いえ、そういうわけじゃないんですけど。というか今付き合ってないですし」
「別れちゃったのかい?」
「んー、なんと言えばいいのか。まぁあれから色々あったわけですよ」
「色々……か。差し支えなければ教えてくれると嬉しいな。何か助言してあげられることがあるかもしれないし」