「ここの神社の名前は?」
「……なんでしたっけ?」
「知らないのか。どうりで察しが悪いわけだ。舞鶴神社って言うんだよ」
「ああ、なるほど」


要するに親族のお手伝いをしているというわけか。
状況に納得がいった私は百円玉を二枚置きながら、率直な感想を述べる。


「神主の血縁者たるものがあんな不健全でインモラルなゲス野郎だなんて世も末ですね」
「言ってくれるけど、僕は神主の血縁者である以前に一人の健全な男子であるんだよ」
「誇らしげに言われてもなぁ……」
「それよりほら、早く引きなよ」


小銭を回収した舞鶴さんに促されて、おみくじ箱から一枚の紙をつまんだ。
するとおみくじ売り場の奥の方から「雅彦ー!」と名前を呼ぶ声がして舞鶴さんが返事をする。
舞鶴さん下の名前雅彦っていうんだ。
秀麗な名前が中身の汚さを際立てているようにすら思える。