行き交う人々には家族連れや年の近い友達同士がいたりして、勿論なかにはカップルらしきペアも見受けられた。
手を繋いだり腕を組んだり、ひとつの焼きイカを二人で食べたりなんかして。
仲睦まじそうに歩いている男女が視界に入る度、脳裏を掠めるのは和泉川の存在。

私は一体これからどうしたいのだろう。どうするべきなのだろう。
大体の目標や目的はわかってきたものの、心のどこかでまだ迷いがあるのはなぜなのか。

とにもかくにもまずは、おみくじで今年初の運試しといこうじゃないか。
意気込みを入れておみくじ売り場に向かった私は、小銭を用意して短い列に並ぶ。
そして自分の番がやってきた時、そこにあった見覚えのある顔に面食らってしまう。


「げっ」
「あれ、君は確か……」


反射的に声を出してしまった私を前に少しだけ目を丸くしているのは、かつて巧妙な振る舞いで私の貞操を奪おうとした、あのハイパー級ゲスい系インテリ眼鏡男子の舞鶴さんだった。