首を絞められながら無理矢理歩かされているミツルの姿は、散歩中寄り道を許してくれない飼い主からリードを引かれている犬を彷彿させた。
全力で抵抗しない辺り、ミツルの思いやりが垣間見えたことは評価したい。

それでも4人が進んだ屋台がある方向とは反対方向にあるおみくじ売り場を目指す私は、なかなか薄情者だ。
脂っこくて嫌だというこちらの都合で昨晩恵んであげた年越し蕎麦の天ぷらを先払いの報酬だったと見なして、今回はミツルにひと働き頑張ってもらうとしよう。

大勢の人で賑わっているから一人でいても目立つことはない。
それが私を迷子にさせる要因でもあるのだけれど、非情に便利な世の中になったもので、ポケットに携帯している電子機器が心強いのだ。