「ミツにー、オレわたあめ食べたーい」
「わたしチョコバナナ……」
「ウチおしるこがいいなー」
「分かったから引っ張んなって!順番だっつってんだろ!」


とは言えちびっこ達の標的はミツルに定まりつつあった。
それもそのはず大人から初詣で使用するお小遣いを預かったのが私ではなくミツルだというのを、ちびっ子達はしっかり把握しているからだ。
ミツルの上着やマフラーを引っ張っるちびっ子達のお目当てが、どれも甘い物なのは実に小学生らしい。

世話を焼いているミツルをよそに、私はおみくじを引きに行くことにする。


「私ちょっと散歩してくるね。すぐ戻るからー」
「へっ?はっ?おい、抜け駆けする気かよ!ふざけんぐえっ」


ミツルが情けない声を上げたのは、ちびっ子が三人がかりでマフラーを強く引いていたからだ。