「――おい愛生!起きろって」
「ん~……ミツル……?」


次に目を開けた時、目の前には面倒くさそうな面持ちのミツルがいた。
体を起こしてあたりを見回してみると、ここが畳の部屋であることに気付かされる。
あれ、かくれんぼしてる途中だったのに、こんなところでいつの間に寝ちゃってたんだろ。


「鬼やってる最中に寝落ちとか信じらんねー。オレ達どんだけ隠れて待ってた思ってんだ」
「え、ごめん」
「まぁいいからさっさと来いよ。もうみんな居間に集まってんだから」
「うん」


なんで突然寝落ちしちゃったのか、部分的に記憶が抜け落ちてる部分があって不明瞭な点が多く残るけど、ようやくちびっこの相手から解放されるみたいだし、まいっか。
年末にまで必要以上に考え込みたくないもんね。
難しいことは気にせず、今夜はめいっぱいご馳走を平らげよう。

私は軽い足取りでミツルの後に続いた。
仏壇の扉が再び閉まっていたということなど、目もくれずに。