そうして観音開きの扉をゆっくりと開けた私は、理解不能な光景に愕然とさせられた。


「………あれ……?」


目に映ったのは綺麗な額に入れられた幼い男の子の写真。
あどけない笑顔でこちらを見据えている。
だけど待って、この顔見覚えがある。


「いずみ、かわ……せんぱい?」


どうして和泉川先輩の幼い頃の写真がここに……?


「…………?」


……ううん、ちがう。この人は和泉川先輩じゃない。
この人には和泉川先輩には存在しない涙ぼくろがあるもの。
でも、だったらこの人は一体誰?

……。
…………。
…………………。

……いや、私はこの人を知っているはずだ。
どうして今まで忘れていたのだろう。
だってこの人は、私の……わたし、の……、


「……お、―――」


電撃に打たれたように思考が止まる。
次の瞬間、私の意識は途絶えた。