こんなに身近に自分の理想があったなんて知らなかった。
私は今まで王子様にルックスを求めすぎていたのかもしれない。
ルックスなんて所詮は上辺だけのものなのに。子供の私にはそれがわからなかった。

見た目どうこうじゃなくて、気持ちとして二人が愛し合っているかが重要なんだ。
お父さんとお母さんの馴れ初めは、私にそんな当たり前のようで気付けなかった大切なことを教えてくれた。


「今はあんなに太ってガミガミおばさんになっちゃったけどね」
「あれはあれでいいじゃないか」
「あはは、お父さんほんとお母さん好きだねー」


愛加とお父さんが笑い合う隣で、私は人知れず悟る。
これから自分がどうするべきなのかを。