顔を上げれば整った顔立ちだけどわりとぽっちゃりめの女子と、カエルみたいな顔をしたお世辞にも可愛いと言えない女子がいた。
念のため立ち上がってから周囲を見回してみるけど、その二人と私とベルだけ。
まさかベルのことを言ったわけじゃないだろうし、やっぱりアンタとは私のことで間違いない。


「アンタさぁ、和泉川にベタベタしすぎじゃないの?」
「付き合ってもいないのに調子のんなよ」


何かと思えばそんなことか。
体育祭の件でちょっとだけ顔が広く知れてしまったらしい。
校内で知らない人からの視線を感じることが増えた。
特に和泉川先輩のファンと思われる先輩女子からの視線は、睨みそのものだった。

ベタベタしてるって、もう一緒に帰ったりご飯食べたりしてるわけじゃないし。
近頃じゃ向こうも勉強に本腰いれてるから、校内ですれ違った時にちょっと言葉を交わす程度の付き合いだ。
なのにこんな言い方されるのは、かなり心外だな。