体育祭が終わり、ビッチ先輩との件も一段落させたあの日からひと月ほど経過して、学校敷地内の庭は落ち葉でできた絨毯により暖色に染まっていた。
そして現在、ちゃっかり後期の委員決めにて飼育委員に立候補していた私は、朝からベルに餌を与えている最中だったりする。


「ほーれほれ、美味しいかー」


休み時間や部活前の放課後に、率先して小屋掃除やら餌やりやらを行った甲斐あってか、最近ベルが懐いてきた。
私が顔を出せば寄ってくるし、だっこしてもあまり暴れなくなったし。
和泉川先輩に対しての好感度には遠く及ばないだろうけど、ベルはちゃんと私を認識してくれているようだ。

ちなみに飼育委員が一応“ぴょんたん”という名前をつけていたということがこの前判明したけど、私は愛着があり定着しつつあるベルという呼び方を続けている。
ベルと呼んでもきちんと反応はしてくれるし、特に問題なさそうだからだ。
案外賢いのかもしれないなこのこは。
レタスをもしゃもしゃと食しているベルを、小屋の前にしゃがみ込んだまま眺めていると、


「ねえアンタ」


前方から愛想のない声。
誰か歩いてきていると思えば、私に用があるのか。