「あー、今日テストあるよー。京太どーする?」



「サボったら成績落とすって現社の後藤に言われたから社会は出る」



あたしたちが2年生の靴箱の前で待っていたらお目当ての人物たちがやって来た。



その人物たちはあたしたちを見つけると子犬のように近寄ってきた。


「ひーなーちゃーん!みーれーいーちゃーん!聞いて!今日テスト…」



「知ってますよ。そのために待ってたんです」



あたしが宇治原先輩の言葉を遮る。
朝からうるさいひとだなぁ…



「高野と原田、なんでここに?」



「あ、あの実は「何それー!手作りクッキー!?」



あたしの声はみごとに宇治原先輩に遮られた。さっきのお返しですか??


「宇治原先輩はうちがこのクッキーあげるー」



ひなは、平然を装って渡している。
よし、あたしも!



「藤崎先輩、これクッキーなんですけど、甘いもの大丈夫ですか?」




「おう!意外と甘党なんだ、俺」



藤崎先輩が笑う。



「甘党って、子供みたいですね」



あたしが冗談で鼻で笑った。



「あー、でも俺あれ食えねぇ。あれ、あれだよ、うーんと…」



「キャラメルだよなぁー!京太!!」




宇治原先輩が割りこんでくる。
ひなと仲良く話してろってー!!
じゃなきゃなんのためにクッキー作ったかわかんないし!!



「てか、ありがと。あとで食うわ」



藤崎先輩が微笑んでくれた。



ドキドキ




…やっぱあたし、藤崎先輩のこと好きかもしれない。