*あいら*さんの執筆テクニック講座

『溺愛120%恋♡』『総長さま、溺愛中につき。』『ウタイテ!』など野いちごの人気シリーズをたくさん手掛けている*あいら*さん!

今回は小説を書くとき出てくる問題について、より詳しく教えてくれました!あなたのお悩み解決のカギも見つかるかも…?

書きたいシーンはあるけど短編しか書けない。長編にするにはどうしたらいい?

私も最初はそうでした…!確か最初にネットにアップした作品は、20ページくらいの短編だったと思います!

徐々に書いてくると、自然と慣れてくるので、短編をたくさん書いて、中編長編と伸ばしていくのがおすすめです…!

段階を踏まずに長編を書きたい…!という場合は、短編を引き伸ばすのがおすすめです!

例えば、短編として書いたものを、全体の第1話にします。第2話は交際が始まってから恋人としてデートをする回、第3話はライバルが現れて喧嘩をしてしまう回、第4話は仲直りしてさらに仲を深める回……など、エピソードごとに短編を作っていくと、それがひとつの作品になり、いつの間にか長編になっています!

キャラクターの設定はどのくらい決めてから書き始めるのがおすすめ?

私は場合によって全く違います…!たとえば、シリーズ前提の作品なら、細かいところまで決めてしまいます!

身長体重、好物、家族構成、癖…など、細かい時はクラスの座席表までがっちり決める時もあります!サイトで勢いのまま書いてしまいたい時は、誕生日も決めずに書き始めることもあります!

設定をしっかりと決めるほど、書いている時に迷いがなくなったり、キャラクターが明確になるというメリットがあるので、細かく決めるのはおすすめです!曖昧だとそれはそれでミステリアスさが出せたりもするので、どちらもメリットはあると思います!

起承転結が作れない。どうやったらバランスよく物語の波を作れる?

難しい質問です…!起承転結については、はっきりとした基準がないものだと思うんですよね。例えば人によっては、起承転結の「起」の部分ですでに「起承転」が起こっていたりするので、これはもう感覚なのではないかなと思っています…!

意識して起承転結を書けないという場合は、まず無視して一旦プロットを書いてみてください!そして最後に、どの部分が起承転結の「起」になるのか、「承」になるか確認します!そこで何かが抜けていたら付け足す、という後付け戦法がおすすめです!

起承転結というとなんだか難しく聞こえてしまうので、恋愛作品で例えるなら、「起」が「出会い」、「承」が「馴れ初め」、「転」が「すれ違い」、「結」が「結ばれる」、くらいざっくりで大丈夫です!

※「起承転結」とは?

文章や話の組み立て方、物事の順序や展開の仕方のこと。

毎日、何文字くらい書くようにしたらいい?

毎日何文字は決めなくていいと思います!それよりも、毎日5分でも書く、という目標の方が続きます!まずは執筆のハードルを下げることが大事なので、気軽に5分書いてみてください!

中・長編になると終わりが見えなくて続けられない。どうしたらいい?

終わりが見えなくて続けられないという方は、短編を書いてみましょう!もしくは、すごく短期集中で書くのがいいかもしれません!

毎日1,000文字ずつ書くよりも、「3日間執筆しかしない日を作る」など、無理矢理に聞こえますが結構いいです!私のデビュー作に極上恋愛主義という作品があって、これは確か中学1年生の1月~2月あたりに執筆したのですが、短期集中戦法を使って完結させました!10日間くらいずっと携帯を握りしめていました!(当時はガラケーでポチポチ書いていました!)

※「ガラケー」とは?

「ガラパゴス携帯」の略称。フィーチャーフォンとも。1990年~2000年代に使われていた携帯電話のこと。

きれいに話を終わらせられない。なにかコツはある?

すごくすごくわかります…。それこそデビューから最初の3作品は、今思えば終わり方がめちゃくちゃだったんです…。今も、ラストで力尽きてしまうことが多々あります…!

これについてはいくつか対策があって大きく3つに分けて説明させてもらいます!

  1. 「プロットを作ること」。プロット書かない派の方はこれをやってみてください!大幅に改善されるはずです!
  2. 「ラストを先に書くこと」。これがなかなか私には合ってます!ラストはやはり全体の中でも大事な部分ですので、思いついた時に書いてしまう!ラストを書く時って体力的に疲れているので、思ったような締め方ができない時が多いんですよね…。先に書いておけば、それを防げます!
  3. 「時間をおいてから書き直すこと」です!これが一番オーソドックスなやり方ですね!一旦完結させて、一週間後くらいに読み直して書き直す。時間を置けば体力も回復していて、かつ客観的に読めるようになっているので、一度置いてからチェックするのはおすすめです!

書きたいものがよくわからない。なにから始めるのがいい?

これはわからなくてもいいと思います!というのも書きたいものを書く人もいれば、面白いものを書きたい人など、作家にもいろんな種類がいると思います!

なので、書きたいものではなく、「面白いもの」「人気になりやすそうなもの」を意識して書く形でいいと思います!

人気になりやすそうなものがわからない…という方に、絶対に面白いがわかる究極の方法を教えます!ずばり、人気の作品を20~60冊読んでみてください!これできっと感覚が掴めます!

頑張って書いても3,000文字くらいにしかならない。どうやったら沢山書ける?

「1日で3,000字しか書けない」という場合

1日で3,000字かけたら十分です!これを10日続ければ、30,000文字です…!1ヶ月で1冊かけるペースです!もっと早く書けるようになろうと意識するよりも、まずはこのペースを維持することを目標にしてみてください!


「全体で3,000字が精一杯」という場合

→文字数を意識すると、なんだか一気に執筆のハードルが上がりますよね…!気持ちとてもわかります…!これは最初の質問と被るのですが、1節もしくは1章3,000字という形に決めて、分けて考えるといいと思います!出会いのシーンを3,000文字、馴れ初めのシーンを3,000文字…など、繋げていくと長編にできます!

単純に文字数の配分が難しいという場合は、プロットの段階で、ここは大体何文字くらい~と意識して書いてみてください!少ないなと感じたら、プロットの段階でエピソードを追加する…など、執筆に取りかかる段階で完成した作品を想像してみると、全体像が明確になります!

プロットを作る前、設定はどのくらい細かく考えておくべき?

これはキャラクターの設定の質問と被るのですが、本当に場合によります…!ただ、例として分量で表すと最低でも本文の10分の1はプロットの分量があるといいです!

50,000文字の小説を書くなら、プロットは最低5,000文字!私は大体50,000文字の小説を書くなら10,000字くらいプロットを書きます!

10日間でどのくらい書ける?そのための時間配分やスケジュールは?

10日間…これも難しい質問です!というのも、私は結構書いて消すを繰り返すタイプで、1日に10,000字書いてまるごと消す、みたいなことが結構あります。なので、10日あれば1冊の小説を書くことはできますが、早ければいいというものでもないので、結論スピードは関係ありません…!早くできた作品でも、後悔が残ることはあるので…!

ただあくまで例として10日で1冊書き切るスケジュールで組むなら、休日朝の7時〜12時を執筆時間にあててください。私はこの「朝の7時〜12時」で10,000字くらいを目安にしています。

最初の2日間はプロット制作。残りの8日は原稿執筆として、1日10,000文字で1冊くらいです!集中できない方は、カフェに行って執筆するのがおすすめです!

どうやってネタを練っている?なにか見て刺激を受ける?あるいは妄想を組み立てる?

どんな時にネタが降ってくるのかは自分でもわからないので、ずっとアンテナを張るようにはしているかもしれません…!たとえば今一番書きたいと思っている作品があるのですが、その作品を思いついたのは葉加瀬太郎先生のコンサート中でした…!

刺激を受けるためにネタ探しをしたりはするのですが、ずばりおすすめは広告です!とにかく人目につくように、業界のプロの方々が考えに考え尽くしたキャッチフレーズはとても参考になります!

街を歩いていたら広告がたくさんあるので、広告を見るために散歩することもあります!私は普段から意味もなく散歩に行ったり、電車に乗ってみたりするのですが、駅でもポスターを見つけたら隅から隅まで見たりします!怪しい人ですね!(笑)

他にも、個展があったらふらっと入ってみたりもします!新聞もおすすめです!話題の漫画や映画、ゲームや音楽はチェックしますし、どのジャンルでもランキング上位のものには触れてみたり、とにかくいろんなことに触れてみるようにしています!

ただ、これに関しては意図的に勉強しているというよりも私が創作物が好きというだけなので、勉強している感覚はありません…!読んだり見たりするのが苦手という方は、自分に合ったネタ探しを考えてみてください!

好きじゃないことをするのはストレスを溜めてしまうだけですから、ストレスだけは溜めないでくださいね…!極論、好きなものを追求すればOKです!

完成品のチェックはどうやってる?自分で間違いに気付いたり、文章を直したりできる?

プロットの段階では結構直します!全ボツも全然ありますし、私はとにかく自分の中の「直感」を一番大事にしているので、面白くないと思ったら書き直します!

頭の中に他の案や別のパターンが浮かんだ時も、それを頭の中で考えて一番面白いものを書く…のではなく、とりあえず全部書いてみます!書き出すことで、もっと面白いものが生まれたりするんです…!とにかく書いてみるというのは本当におすすめです!

作品が完結したり、プロットが完成したらきちんと見返すんですが、私は本当に誤字脱字には弱く、見落とすことが多々あります…。もちろん、気づいた時はきちんと直します!校正さんや編集さんには頭が上がりません…!

途中で書けなくなっちゃったらどうする?

もう絶対に書けない、書きたくないと思った場合は、終わらせちゃいましょう!無理矢理でもいいので、恋愛作品の場合はとりあえずふたりをくっつけて完結です!

そして、今は書けないけど気分が乗ったら続きを書きたい場合、いつか書ける気がするという場合は一度放置しましょう!私も3年以上放置して完結させた経験があります!時間が経てば冷静になって作品と向き合えたりもするので、書けない時は書けなくても大丈夫です!自分の気持ちを大事にしてあげてくださいね!

イベントごとのつなぎがうまく書けないときは?

イベントごとのつなぎ、確かに難しいですよね…。節と節のつなぎ部分も、私もいつも迷ってしまいます…!これについては、ずばりパターン化がいいのではないかなと思います!イベントが終わる時、新しいイベントに入る時、それぞれのパターンをいくつも勉強して自分の中でテンプレートを作ってみてください!

例えば私は、イベントが始まる時は、いきなり一行目で「ついにやってきた○○当日。」のような感じで始める時もあれば、「(全く関係ない会話文~)そう、今日は待ちに待った○○の日だ。」のように書く時もあります。これについては書き方を覚えてパターン化する方がスムーズに書けると思うので、いろんな小説を読んで参考にしてみてください!

書きたいイベントはあるけど、前段階を書くエネルギーがわかない…

前段階を書くエネルギーがないということは、逆に言えばそのイベントがすごく書きたいのかもしれません!そういう時は、いっそそのイベントだけ書いてしまいましょう!最初に二人の関係性を説明すれば、前段階がなくても作品として成り立ちます!

そしてそのシーンを短編として書いてから、もっとこの作品をたくさんの人に読んでもらいたいから、長編にしよう…!という気合がわきあがれば、そのまま前段階も書けるはずです…!

少し根性論みたいになってしまいましたが、自分の創作欲をどれだけ掻き立てられるか、みたいなところも作家に求められる要素のひとつだと思うので、自分のことも楽しませて、やる気にさせてあげるといいと思います!私もいつも自分で自分のご機嫌をとっています!(笑)

*あいら*さんの執筆マイルールを教えて!

執筆マイルールは、特にありません!ルールに縛られたりするのが好きじゃないので、ジンクスやルールは作らないようにしています!

初心者のころにぶつかった大きな壁は?どうやって克服できた?

初心者のころにぶつかった大きな壁、これは周りと比べることです!執筆には関係ないかもしれませんが、やはり周りからの評価や、周りの作家さんと比べて自分が全然頑張れていないなと思って落ち込む時代がありました!

これは作家としてというより、自分の人間性を変えていこうと思い、常に自分軸で考えるようにして克服しました。今は同業者の方はみんな仲間だと思っていますし、人が頑張っているのを見て自分も頑張ろうと思えるようになりました!

会話文・地の文しか書けない バランスよく書くコツは?

会話文は最大5行まで、を意識するといいかもしれません!かくいう私もこのバランスには常々悩んでいて、私の場合は地の文が多く、くどいという自覚があるので読者様にストレスなく読んでいただけるバランスを追求中です!

今のところは、会話文は最大5行まで、地の文も5行くらいとやんわり決めながら書いています!もちろん多くなることも少なくなることもあります!

文章が全部「~だった。」「~になった。」など同じになってしまう。緩急をつけるには?

私は「〜た」、「〜る。」などを2回以上使わないと決めています!「〜だった。」「〜になった。」と「た」終わりが続いてしまったら、どちらかを「〜になる」に変更すれば解決です!その変更する方法がわからないという場合は、他の人の小説を参考にして、語尾のパターンを作ってみてください!


【例】

変更前)

A子はそう言った。

だが、B子は首を横に振った。

それを見たA子は怒った。

A子はB子に共感を求めていた。


変更後)

A子はそう言った。

だが、B子は首を横に振る。

それを見たA子は怒った。

A子はB子に共感を求めていからだ。


これ、語尾を少し変えただけなのに、すごく読みやすく感じませんか?こういう感じで、パターンを自分の中で作って、できる限り最後が被らないようにしてみてください…!

「読みやすい文章」ってどんなもの?

読みやすい文章については、ぜひ私も誰かに教えていただきたいと思っています…!きっと小説を書いている以上一生付き纏う悩みなんだろうなと思います…!私が答えるのもおこがましいのですが、あくまで今の私にとって読みやすい文章は、「親切な文章」です!

「自分の生み出したこの誰にも真似できない表現を見てほしい」という意識も創造性があって素晴らしいと思うのですが、「誰が見ても理解できるように書く」という意識は大切だと思います。

私は結構同じことを何度も繰り返して書いたり、しつこいくらい説明を入れたりするのですが、たくさんの方が読んでくださることを想定し、読んでくださっている人を誰も置きざりにしたくないと思って書いています…!

が、くどくなってしまう原因にもなっているので、いい塩梅を探しています…!読みやすい文章を書きたいと思う意識があれば、自ずと読みやすい文章に近づくと思うので、一緒に頑張りましょう!

中高生向けとジュニア(小中学生)向けの違いはなに?

違いはいろいろありますが、こちらも大きく3つに分けて説明させていただきます!

  1. 「恋愛描写のレベル」です。対象年齢に合わせて、恋愛表現は気をつけてください…!ジュニア文庫では、①巻では基本的にハグまで。過激な描写は控えてください…!
  2. 「登場人物の年齢設定」です!中高生向けでは、ヒロインの設定は高校生か大学生が多いですが、ジュニア文庫では小学生、中学生の設定が多いです!
  3. 「恋愛とそれ以外の比率」になります!これが一番難しい気がします…!中高生向けは、がっつり恋愛要素メインのものが人気の傾向(私調べ)にあります、特にヒロインに夢があったり、友情や他の要素がなくても大丈夫ですが、ジュニア向けは他の要素も重要視される傾向があります…!それこそヒロインに夢があったり、目標があったり……恋愛以外の要素もしっかりと設定してください!

恋愛とその他を数値(恋愛:その他)で示すと、中高生向け恋愛作品は「9:1」、ジュニア向け恋愛作品は「6:4」くらいを意識するといいと思います!さらにジュニア向け作品の「その他」を細かく分けると、「友情3:家族2:夢5」くらいなのかなと個人的に感じています!

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