「水凪の国」
3.大人
2
男はアクアの肩越しに、後ろにいるフラワに手を伸ばす。
「やめろよ!」
リョクだ。
ガツと殴られて、リョクは黙った。
「うるさいガキどもだ。まあいい、な、お嬢ちゃん。いくつだ?」
「いや、触らないでよ!」
「売るんだろ!」
アクアが男の胸元に頭突きをしながら、怒鳴った。
「お、なんだこいつ」
縛られているのでたいして威力はなかった。
頭を押さえつけられて、ぐいぐいと押し返された。
男の顔は見えない。
後ろで、残る二人が笑う声がする。
「女の子は、手をつけたら値が下がるだろ!」
「ほ、知った風じゃねえか、ガキが」
面白そうにニヤニヤしながら、男はアクアを立たせた。
「じゃ、お前、代わりに来いよ」
ひげの男は、強引にアクアを立たせる。
髪を掴んだまま、ぐいぐい引っ張って部屋の外に連れ出した。
「後でまわせよ」
煙草の男がまた、煙を一つ吐いた。
「アクア!」
扉が閉められて、二人の声は小さくなった。
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