「水凪の国」
1.旅立ち

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アクアも、明るい草色の瞳で睨み返した。

水のことは忘れていた。

それより、傍らに連れている女と、カタロがこれから家ですることと、そのために自分がしばらく追い出されることのほうが、アクアの怒りを沸き立たせていた。


どうせなら、帰ってこないで、町でやってくればいいじゃないか!


「水を、どうした?」

「なんで、そんなの連れて来るんだよ」

にらみ合う二人。

「やあねぇ、暑いから先に入るわよ」

女は、甘ったるい香油のにおいをぷんぷんさせながら、アクアの脇をすり抜けて、家に入った。

「あら、まあ!大変」

変な声を出した。

「なに?」

「なんだ!」

アクアと、カタロが入っていく。

狭い戸口を、争うように駆け込むと、アクアは立ち止っている女に突き当たった。

鼻を押さえる。


「ひどいわ、これ。半月分の水が台無しじゃない」

「お、まえ…」

女の声、カタロの声を聞きながら、アクアは女の脇から、顔を出した。

水がめの一つが、割れていた。

重くてひっくり返せないから、割ったのか。

部屋中、水浸しになったのだろう、土と水のいやなにおいがする。

目が慣れてくると、あちこちに、かめの破片が散らばっているのが見える。

ドン、と背中を突き飛ばされて、アクアは床に転がった。


「きさま!何をしでかしたんだ!え?水をこんなにしちまって!ばかやろう!」


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