「水凪の国」
2.砂漠の井戸
1
砂漠の日差しは、予想以上に、暑かった。
見渡す限りの熱された砂の海。
黄色く、黄色く、黄色い。他には、何もない。
ただ、雲ひとつない青い空と、目のくらむような日差し。
あれから半日しか立っていないのに、もう彼らの水筒は空だった。
自然、無口になる三人。
普通砂漠に出る大人は、大きな水がめの乗った台車をオオトカゲに引かせている。
人間はラクダか馬に乗る。
長い旅をする商人は転々と井戸を回って井戸の水守に品物を売り、同時に井戸で水を買いながら旅をする。
砂漠にいるのは水守と商人。
それだけだ、普通は。
アクアとリョク、フラワの三人は、始めの頃こそ口げんかしたり、ナツメをかじった
り遠足気分だったが、最初に一つ水筒の水がなくなってから、急に大人しくなった。
三人がぐったりした中、やけに元気なローローがトカゲの頭の上で、先頭に立つように後ろ足で立っている。
その尻尾がパタパタと額を叩くたび、オオトカゲは小さな金色の目を瞬きした。
そうして、どこに向かうのか少し方向を変える。
「な、アクア、どこにむかってるんだ?」
「ん、たぶん一番近い井戸」
「たぶんって、なによ、それ」
実のなくなったナツメの枝で、一番後ろからフラワがアクアの頭をぺしとたたく。
「うるさいなぁ、ローローは水ネズミだぞ、ちゃんと水のある場所は分かってるさ、な、ローロー」
アクアの声にローローが振り向いて、三人のほうにかけてくる。
トカゲがくすぐったそうに、鼻を鳴らした。
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