「** 蒼い星 ** 2nd Story」
7.レクト、憤る
ブールプールの中央政府ビル。
黒々とそびえるその最上階に、珍しく軍務官が立ち寄った。
太陽帝国軍の総司令でもある彼は、同時に民間の軍事会社ミストレイアの統括本部長でもある。
多忙を極めるため、なかなか、シンカに会う機会はない。
それでも彼のおかげで、太陽帝国軍はどの惑星の脅威でもなくなり、まるで、宇宙の警察のようになっている。
一方で、その網の目を抜ける仕事をするミストレイアとのバランスを、どうとっているのか、本人以外分かるものはいないだろう。
長身、鋭い黒い瞳。栗色の髪はいつも短く清潔で、端正な容貌を引き立てる。若干四十二歳の彼だが、その威圧感が、ほとんどのものを黙らせる。
宇宙最強の軍神は、ジンロの報告を受けて、皇帝陛下が仏心街に興味を示していることを知った。
その意図を確認しておく必要がある。
あそこには、迦葉の支部があるのだ。
下手に入り込まれても、厄介だ。くぎをさしておかねばならない。
シンカの性格を理解している彼は、シンカを縛りつけることは不可能と見て、ジンロを付けることにしたのだ。
ジンロが、レクトの命令で動いていたことをシンカは知るまい。
「ユージン。」
秘書室に声をかける。
「軍務官。こんばんは。」
主任秘書官が一人で残って仕事をしていたらしい。そのきっちり結った髪が美しい。
「また、残業か。」
レクトがユージンの肩に手を置く。
「いいえ。今夜はミンク様がお出かけですので、陛下のお助けになればと思いまして。」
「それを、仕事っていうんじゃないのか?お前は、シンカに尽くしすぎるぞ。」
目を細めて、軍務官は若い秘書官を見つめる。
通常、この男の端正な顔に見つめられると女性はひるむものなのだが、このユージンだけは違っている。
それが、妙にレクトの印象に残るのだ。
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